筋電図のよみ方・1
筋電図検査の適応,神経原性筋萎縮と筋原性筋萎縮
土肥 一郎
1
1中央鉄道病院第2内科
pp.87-90
発行日 1970年1月10日
Published Date 1970/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202947
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はじめに
これから3回に分けて,標題の件につき解説するが,筋電図に関しては脳波や心電図と異なり,単なるよみかたの学習ということが考えにくい.現在多くの病院に筋電計が備えられ,この器械を用いて行なう検査の必要な患者と,それに倍するほどの不必要な患者とが外来あるいは病室から送られてくる.そこでは神経筋疾患に関する興味といくらかの素養をもった医師が,検査技師を助手として筋電図をブラウン管オッシロスコープに写して観察しながら,必要な個所を印画紙に撮影し,この写真と説明および考えられる病名を確からしい順序に並べたものを返事として,検査を依頼した医師に届けることになっている.現在では脳波,心電図はほとんどすべての病院で検査技師が記録をとるが,筋電図はおそらくすべての病院で医師が記録をとっており.しかもよむのもその記録をとった医師である.これは,筋電図を観察しここぞと思うところを記録するという過程に上手下手が大きく関係するからである.観察するためには,目印になるものを,電極をうまく動かし筋肉をうまく収縮させてブラウン管上に呼び出さねばならないし,ここぞと思っても安心して電極を持つ手をすこしずらせればやっとの思いで呼び出した波形が消えたり変形したりするからである.この点,脳波や心電図では約半年の熟練を積むならば患者の同一の状態に対応してはただひととおりの波形が記録されるのとはおおいに異なっている.
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