新春特集 I Leading Article '70
3 病理と臨床—臨床経験つみかさねへの土台石
病理医に期待するもの—臨床医の立場から
阿部 正和
1
1慈恵医大内科
pp.16-17
発行日 1970年1月10日
Published Date 1970/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202923
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臨床医学の進歩発展に剖検がきわめて重要な役割を演じていることはいうまでもない.臨床家の立場に立てば,病理解剖こそは,臨床で体験した疾病の真相を明らかにしてくれる唯一のものといってもよい.
もちろん,患者さんの生前における綿密な臨床観察,あるいは周到な臨床検査,さらには外科的手術なども,臨床経験を豊富にしてくれるうえにたいせつなことはいうまでもない.しかし,それにも増して,1人の病人の過去の病態についての全貌を明らかにしてくれる剖検,そしてそれによって臨床家としての反省が行なわれ,次の臨床経験の土台とするという意味で,病理解剖ぐらい貴重,かつ有益なものはないといっても過言ではない.
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