ルポ 西ドイツの医療・2
ドイツ人のものの考え方
水野 肇
pp.1026-1028
発行日 1969年9月10日
Published Date 1969/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202801
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"Deutschland über Alles"
日本人は,一般的にいってドイツびいきである.遠い欧州の1国であるドイツのことが十分にわかって好意をもっているのだとは考えがたい.日本人のなかでも,英・独・仏・米・伊・スペイン人などと並べて,顔だけ見て,それぞれの民族を当てることが可能な人は,きわめて少ない.たしかに,これらの民族の間には,それぞれ大きなちがいがある.日本人と中国人,朝鮮人ぐらいのちがいは十分にあるのだが,そういうことがわかったうえで,ドイツ的なものの考え方に日本人が賛意を表しているのだとは思えない.
おそらく,明治以来,日本の旧制高校でドイツ語を第1または第2語学としていたこと,日本の医学がドイツ医学の模倣であったこと,それに第2次世界大戦の同盟国であったことの3つが原因だろうと考えられる.その国の言語を勉強した場合,人間の本性として,その国に好意をもつのは,世界的な傾向である.アメリカ文学を勉強した共産主義者は少ないし,ロシヤ語を学んだ右翼というのも少ない.多かれ少かれ,その言語を話す国にかぶれるのであろう.
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