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滑膜の電顕像
塩川 優一
1
1順大内科
pp.1206
発行日 1969年11月10日
Published Date 1969/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202856
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関節腔は滑膜Synovial tissueによりおおわれている.滑膜の表層にある滑膜細胞Synovial cellは光顕でみるとどれも同じようにみえるが,電顕では構造上明らかにA・Bの2型に分けられる,A型細胞はいちじるしく多くの空胞を有し,細胞の表面には複雑なひだがあって,ときには指のような形の突起を形成する.細胞質にはGolgi体と少数のミトコンドリアを有する.A型細胞の機能は主として貪食であって,たとえばフェリチンのような電子密度の高い物質を関節腔に注入すると,顆粒状になって滑膜細胞の空胞中に出現する.
B型細胞は多数の小胞体と多数のリボゾームを含む.この細胞は貪食機能は示さず,主として合成の機能を示すものと考えられている.たとえばムコ多糖類ピアルロン酸はB型細胞で合成され,関節腔中に分泌されて滑液の成分になるものである.またこの細胞にはフィブリノリジン,アミラーゼ,リパーゼを分泌する作用がある.
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