カラーグラフ
乳児先天梅毒—その典型的な皮膚所見
寺嶋 誠一
1
,
斎藤 恭一
2
1山形県立中央病院小児科
2山形県立中央病院皮膚科
pp.1274-1275
発行日 1968年11月10日
Published Date 1968/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202423
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乳児先天梅毒は,戦後ペニシリン療法の普及により顕症梅毒の著減とともにほとんどみることができなかった.ところが近年,世界的に再び顕症梅毒の増加が問題にされ,わが国では1961年ごろより増加の傾向がみられる.したがって今後先天梅毒の増加が大いに心配されている.しかしながら現今の若い医師の大半は乳児先天梅毒の症例を経験していない.また過去の症例に比べて,最近の症例は臨床像が少しく異なり,皮膚粘膜の症状が少なくなり,主として,鼻炎とParrot氏仮性麻痺であるといわれている.いずれにせよ,乳児期に原因不明の諸症状があった場合に,先天梅毒を疑いワ氏反応,特に定量的検査を怠ってはならない.乳児先天梅毒は,早期診断,早期治療によって治癒可能だからである.治療はペニシリン(体重1 kgあたり50万単位を全量として10-15日間経口投与,または体重1 kgあたり30万単位を10-15日間に筋注)を主とし,エリスロマイシン,テトラサイクリン,最近は合成セファロスポリンCも用いられている.皮膚症状と類白血病性血液反応を主症状とし,骨変化のみられなかった2カ月男児例を経験したので以下に図示する.なお本症例の母親は妊娠中に治療は受けていなかった.
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