臨床メモ
腸炎ビブリオ性食中毒の診断
柳下 徳雄
1
1都立駒込病院伝染科
pp.830
発行日 1968年7月10日
Published Date 1968/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202285
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下痢患者を診ることが多いシーズンとなったが,夏季の感染性下痢症の首位を占めるものは腸炎ビブリオ性の食中毒である.
この疾患の症状を出現率の高い順に列記すると,下痢 99.8% 悪心 61.6% 腹痛 87.3 血便 55.2 発熱 85.2 頭痛 28.7 嘔吐 69.5となるが,本症の病型は案外さまざまで,診断はかならずしも容易でない.すなわち,定型的な胃腸炎型の食中毒症状を呈するものもあるが,嘔吐のない下痢のみを主徴とする単純な腸炎型のものが多く,また一時的な高熱や粘血便を排出して,赤痢との鑑別は病原検索によってのみ可能な例もあり,胃けいれんと誤診されるようなことも,病初には少なくない.
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