カラーグラフ
糖尿病と球結膜血管
船橋 知也
1
1慈恵医大眼科
pp.676-677
発行日 1968年6月10日
Published Date 1968/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202234
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球結膜は細小血管を生体で直接.しかも容易に観察できる唯一の部位である.糖尿病患者で球結膜血管の病変として第1に注目すべきは細小血管瘤(以下MAと略記)である.岐皐大で清水-船橋が1443名の外来患者で調へたところ,糖尿病でない患者でもその30%にMAがみられたが,尿に糖陽性のものではその73.5%にこれが存在した,慈大阿部内科の協力によって得た55名の糖尿病患者中,球結膜にMAのあったもの78%,眼底にこれを認めたもの73%,球結膜,網摸ともにMAがみられたもの56%であった.組織学的にも球結膜のMAは網膜のそれに酷似していた.
また,糖尿病患者の球結膜の血管,特に小静脈では,径不同,拡張蛇行,コルク栓抜き状,コイル状蛇行がみられ,患者の89%に小静脈血流のSludge現象を認めた.この現象のある球結膜に塩酸フェニルフリンを含有する点眼薬を用いると,その64%において球結膜の血流が一時的に停止した.これら小静脈,毛細血管には組織学的に基底膜の肥厚,内皮細胞の種脹,増殖,小血栓形成がみられた.
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