トピックス
輸血と高カリウム血症
伏見 了
1
,
高階 雅紀
1
1大阪大学医学部附属病院手術部
pp.413-415
発行日 2000年4月1日
Published Date 2000/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905355
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はじめに
外傷および手術などにより出血し,ヘモグロビン濃度が低下した場合に輸血が必要となる(通常はヘモグロビン濃度7.0g/dlが目安).輸血用血液製剤は日本赤十字社から医療機関に供給されるが,1994年の赤血球製剤の供給量は約120万lにも及んでいる1)(図1).このように輸血はかなり一般的な医療行為であるが,1996年4月と12月に日本赤十字社から輸血の適応を厳密にすること,赤血球製剤に対し放射線照射をすること,あらかじめ予定された手術においては自己血輸血の実施も考慮することを明記した「輸血用血液による輸血後移植片対宿主病(GVHD;graft versushost disease)について」の緊急安全性情報が発表された(No.96-01,No.96-5-2).
GVHDとは赤血球製剤中にわずかながら混入しているリンパ球が受血者の身体組織を攻撃するもので,輸血1〜2週間後に発熱,紅斑が出現し,肝臓障害,下痢などの症状が続き,最終的には汎血球減少症を呈し,ほとんど致死的な経過をたどるものである2).わが国においては1993〜1996年の3年間に放射線未照射赤血球製剤の輸血によりGVHDの発症が38例報告されている(緊急安全性情報No.96-5-2).
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