カラーグラフ
101歳の病理解剖
福田 正臣
1
1前鹿大内科
pp.554-558
発行日 1968年5月10日
Published Date 1968/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202197
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慶応元年生れの女性.昭和42年10月に101歳11カ月で死亡.生来健康で著患を知らず,98歳まで農作業をし,100歳まで毎日水浴を続けた.100歳の時の主要他覚所見:歩行は可能,応答正常,整脈で血圧は168/85mmHg,心尖部に収縮期,心基部に収縮期,拡張期の雑音あり.X線上,心拡大と大動脈硬化を,心電図に左室肥大と心筋虚血像を見る.血清蛋白,血清脂質,血糖は正常範囲にあり.42年10月10日から食思不振,屎尿失禁があり,発熱はなく,漸次頻脈,意識溷濁をきたして10月17日に死亡した.病理解剖学的診断:1)動脈硬化 2)心筋萎縮 3)動脈硬化性萎縮腎 4)肝ウッ血,肝細胞萎縮 5)脾萎縮 6)気管支性肺炎 7)内分泌臓器萎縮.以上,臓器組織の動脈硬化性変化,および萎縮と線維化を主とする退行性変化が,主要な異常所見であつた.
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