治療のポイント
小児湿疹の治療
小嶋 理一
1
1東医大・皮膚科
pp.1140-1141
発行日 1967年8月10日
Published Date 1967/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201879
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まず診断の確立を—みだらな外用薬使用は接触皮膚炎を起こす—
小児湿疹の治療にさいし,特別な方法,あるいは「コツ」があるということはない。ご存知のように湿疹学というものは,皮膚科治療学の基礎をなすものであつて,湿疹の治療を一応マスターすることが,皮膚科臨床医として要求される最低の線と考えられている。このように湿疹治療学の重要性を強調するゆえんは,皮膚科外来患者の約半数が湿疹類に属するという,対象患者数のみから主張しているのではなく,皮膚科外用療法の基礎は湿疹の治療を会得することにあるということからである。
古くよりいわれておるように,湿疹は一つの皮膚症候群とみることができる。皮膚病変は多彩であり,瘢痕,潰瘍,結節などの疹型は湿疹においては認められないが,その他のあらゆる原発疹,続発疹が現われてくる。これらの発疹の性格,部位,配列などを参考にして治療方針をたてる。治療方針をたてるということが,湿疹の治療にさいしてはもつとも重要なことであつて,方針の確立ということは,診断の確定であり,おのずとその個体の湿疹の予後を明確に説明できることになる。この診断の確立ということはいまさらここで述べる必要はないと思うが,現在,一般に行なわれている湿疹の治療をみると,診断の確立という点において,少しくなおざりにされている傾向があるように見受ける。
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