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染色法による好塩基球の染色性の差
日野 志郎
1
1東京逓信病院内科
pp.41
発行日 1967年1月10日
Published Date 1967/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201619
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普通染色で血球に染色性の差がもっともよく表われるのは好塩基球であろう。ITPの8歳の男子から同時に3枚の塗抹標本を作り,pH6.4でそれぞれに3種の染色を施し,各標本にみられた好塩基球をつぎつぎに約10コ撮影,各染色で平均値的な外観を呈するものを1コずつ選んだ。図の1はWright染色(秋谷製),2はMay-Grunwald-Giemsa染色(Merck),3はGiemsa染色(Merck)による。このGiemsa染色標本はやや青く不満足なものだが,比較の対象にならないほどでなく,同標本にみられた好中球(図4)を対照にすればよい。
Wrightで顆粒はもっともよく染まり,核に重なったものもはつきり見える。2になると顆粒はかなり抜けて孔になり,それでも残つた顆粒からそれとわかる。3は孔だらけで,気をつけて見ないと顆粒の残りも認めにくい。顆粒がまったくなくなったものも少なくない。このばあいの好中球との鑑別点は,1)細胞質の色,2)顆粒の抜けた孔,3)核の形の違い,4)核の構造の差である。
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