治療のポイント
慢性気管支炎患者の生活指導
菅 邦夫
1
1菅内科診療所
pp.1722-1723
発行日 1966年12月10日
Published Date 1966/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201583
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治療方針をきめるにあたつて
ひとくちに慢性気管支炎といつても,原因・成立条件・持続・軽重などさまざまである。治療の根本は,それぞれについて慢性化の要因を追求し,それを除去することにある。そのもっとも明白なのは気管支に一定の解剖学的変化(拡張・狭窄など)がある場合である。もしもこの変化が巣状に限局しているならば,外科手術によつて根治させることができる。しかし,変化が全般的にびまん性または散在性である場合は,手術的に処置することは不可能で,保存的治療のほかはない。これは治療上もつとも難渋する場合である。それでも多くの場合,内科的治療と日常の注意を根気よくつづけることによつて,いちじるしく改善させることができる。
慢性気管支炎の過半は,気管支に明確な解剖学的変化を証明しない。それらの原因や慢性化の要因は一様でなく,したがつて治療方針も一律でないが,共通していえることは,生活様式や環境条件が大きな影響を与えている点である。したがつて慢性気管支炎の治療では,生活指導がその根幹をなしているといつてもよいほどである。
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