EDITORIAL
工学の眼から
阪本 捷房
1
1東大・電子工学
pp.1693-1695
発行日 1966年12月10日
Published Date 1966/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201574
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学問分野
学問分野は非常に広く,そのおのおのが専門とするところに深く深く進みつつあり,またそのようにすることが学問の発展をうながすことになることは事実である。そのようにこまかくなつた分野をすべての場合に分割したままで扱つていくことは,煩雑さの点から必ずしも好ましいことではないので,大学を一例にとれば学部というような形態でまとめられている。工学と医学とはそれの発生過程において違う途をあゆむように運命づけられており,それぞれ独自の立場で運用されているのでどこでもこの両者は全然別個の分野であるというような印象が深い。
医学を基礎医学と臨床医学とに分けてみると,いずれも生物学を主体としていることに変わりはないが,その分担する分野がおのずから異なることは明らかである。この基本になる生物学の代わりに物理学あるいは化学を考えると,その基礎的部分は理学となり,応用的部分は工学になる。このように応用的部分ということに目をつけてみると,工学と臨床医学とははなはだしく近接したものの感じがする。この両者は根本的に基本となる学問が違うのであるから同一視することは矛盾があるが,そのような基礎学を基として応用面をきり開いていく手法にはおのずから共通的要素が生まれてくるのもまた当然であろう。
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