検査データの考えかたとその対策
顕微鏡的血尿
阿部 裕
1
1阪大内科
pp.1527-1528
発行日 1966年11月10日
Published Date 1966/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201529
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顕微鏡下に尿中赤血球をみた場合の注意点
1)はたして赤血球か 尿沈渣中にみられる赤血球の形,色調,大きさは尿の比重により多彩な変化をみる。赤血球と誤認しやすいものは酵母のsporeや脂肪球などである。これらを確認する方法もあるが,臨床的には赤血球の存在を潜血反応により確認するほうが便利である。Haemastixを原尿でこころみた場合,赤血球による陽性化の限界は同じ尿を規定どおり遠心して沈渣検鏡した場合,強拡大(400倍)一視野に少なくとも5〜20個以上になる。尿沈渣でこころみた場合は一視野1〜0コで陽性となり十分鑑別に応用できる。
2)どの程度以上を病的と判断するか Addis countでの尿中赤血球数正常域は12時間0〜42万5千個である。ふつうの遠沈の条件で強拡大下(400倍)で,各視野に赤血球が認められるためには尿沈渣0.1mlにつき赤血球2,500コ以上であり,各視野に2コ以上あれば病的であるとしてよい。通常,1コ/4〜5視野である。また肉眼的血尿と判断できる。限界は尿1000ml中1ml以上の血液の混在をみる場合である。
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