この症例をどう診断する?・14
討議
梅田 博道
1
,
和田 敬
2
,
田崎 義昭
3
,
高橋 淳
4
,
市川 平三郎
5
,
土屋 雅春
6
1東京医歯大内科
2久留米大内科
3東邦大内科
4日大内科
5国立がんセンター・集検部
6慶大内科
pp.1347-1351
発行日 1966年9月10日
Published Date 1966/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201485
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1950年ごろまでは想像しえなかつた病気
梅田(司会) 土屋先生の症例なので,まず簡単に,説明していただきましようか。
土屋 ポイントをお話しますと,この記録どおりなのであつて,いままで非常にいろいろな病気をしすぎたのですね。1つの個体で。なんともいえず気の毒で,しかもせつかく結婚したのに,病気のために離婚のはめにまでなつて,桜ケ丘保養院という代表的な精神病院に入れられた。それが1つの問題点です。それからデータですが,血圧は最高血圧が160〜200mmHgその間を動いている。尿量は2,000ml以上ありますね。この程度だと多尿という人もあるし,ざらにあるよという人もある。比重は高くも低くもない。血清電解質はカリウム。これは誰が見ても,いつも低いということなのですけれども,カリウムというのは,なかなか一般の先生方は計りませんね。この例は測定するといつも低い値ですけれども。いちばん最初のときには,下肢の脱力感が非常に強くて,起きあがつてこない。真中の2.9mEq/L,2.7のときはふつうで2.18というときは,少しだるいけれども坐るくらいのところで,どうも症状とデータとは,あまり合つていないのですね。それで,1950年のなかごろまではこんな病気は想像しえなかつた。1つ病名を知つてさえいれば,本誌3:1047の田崎先生のポーフィリン尿症の症例みたいにすぐ気がつく。わりに簡単なものということですね。
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