治療のポイント
慢性肺気腫の生活指導
梅田 博道
1
1東京医歯大・内科
pp.49-50
発行日 1966年1月10日
Published Date 1966/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201135
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慢性肺気腫の病態は気管支の痙攣,気管支粘膜の浮腫,腫脹,たんの貯留,肺血管の痙攣,横隔膜運動障害などの可逆性障害因子と,肺の弾力性減退,胸廓変形,肺胞の拡張あるいは破砕,右心肥大などの不可逆性障害因子とが組み合わさつた悪循環連鎖である。われわれは,不可逆性因子を除くことはできないが,可逆性因子をできるだけ排除してこの連鎖を断ち切り,肺性心への進展を阻止する努力が必要である。とにかく慢性肺気腫は,肺胞腔の拡張,破砕といつた構造的変化を基盤として発する疾患であるから,根治療法は期待できない。したがつて,慢性肺気腫の患者にはその管理が一生涯の課題となるわけで,単なる投薬注射のみですませるわけにはいかない。日常生活の場での管理が必要であり,うまくコントロールすることによりその個人の余生を有意義ならしめることができよう。
慢性肺気腫の対策としてわれわれが手をつけ易い方策は三つに大別できる。肺,胸廓の動きの合理化,気道の拡張,気道分泌物の除去の三つである。
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