症例
選択的腎動脈撮影—2.腎腫瘍
田坂 晧
,
竹中 栄一
,
山内 尚聰
,
北川 龍一
pp.428-431
発行日 1965年3月10日
Published Date 1965/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200748
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
腎腫瘍の診断には腎盂撮影による腎杯および腎盂の変形を判断することが重要であることはいうまでもない。腎杯に変化をおよぼさないような小さい悪性腫瘍の存在や変形があつてもそれが悪性腫瘍によるのか嚢腫であるのかの鑑別に動脈撮影が決定的根拠をあたえることが認められている。
腎の悪性腫瘍は原則としてきわめて血管が豊富で,動脈撮影で豊富な血管がみとめられ,動脈分枝は不整で,蛇行をし,走行や内径が不規則に変わり,多数の分枝をつくり吻合をして動静脈瘻を形成する。このような病的血管は腫瘍全体にみられることも,またごく一部にだけみられることもある。腫瘍の中心部が壊死におちいり血管がなくなり,周辺部だけに病的血管があるときに定型的な"pooling"とか"laking"といわれる像を示す(1)。このような病的血管は動脈相からネフログラム相にかけて認められるが,わずかな病的血管しか示さない例があるので選択的造影で連続撮影をすることが必要となる。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.