メディチーナジャーナル 精神衛生
社会の動きと精神衛生
大谷 藤郎
1
1厚生省公衆衛生局精神衛生課
pp.939
発行日 1964年9月10日
Published Date 1964/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200485
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昨年4月,大阪で開かれた日本医学会総会に招かれたケンブリッジのバンクス教授は,「世界を広大な未開発の農業地帯と,開発され工業化された社会との二部分に分けて考えると,工業化された社会の疾病像は,必然的に精神医学と老人医学とが重要視され,それらが急速に発展する」という指摘を行なつた。
わが国のように急速に工業化された社会で,「将来,何がもつとも重要な医学上の課題であるか」という点については,基本的には,やはり将来とても社会階層間の格差による疾病像,受療像の格差であると考えるのだが,それをひとまずおいて,生物的側面にのみおもきをおいて考えるとすると,まさにバンクス教授の指摘のとおり,精神と老人問題が焦点となることはまちがいない。
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