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腹腔鏡検査
山形 敞一
1
,
三浦 清美
1
1東北大内科
pp.934-935
発行日 1964年9月10日
Published Date 1964/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200483
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腹腔鏡検査について 腹腔鏡の歴史はKelling(1901),Jakobaeus(1910)に始まり,Kalk(1929)ら多くの先達が器械の改良と,検査法の集大成を行なつた結果,現在のように臨床診断面に確固たる地位をうるにいたつた。従来腹腔内臓器の病変の診断は各種の機能検査,レントゲン線検査によつており,肉眼でたしかめる機会は手術あるいは剖検によらなければならなかつた。しかるに手術による場合には患者に対する侵襲が大きく,時には生命の危険をおかさなくてはならないこともある。また剖検による場合はその病変の終末像を見ているのであるが,腹腔鏡検査によればその個体の生前の任意のときに,その病気の進展状態を知ることができ,その侵襲も少なくてすみ,必要によつては反復検査を行なうことができ,各種検査法の併用により,その疾患の流れをとらえることができるとともに,その各時期の状態を客観的に記録として保存できる。さらに他の検査法を直視下に安全に行なうこともでき,テレビジョンなどを応用すれば,多数の人が同時に同一の状態で疾患を観察検討することもできる。しかしながら一部には,本検査法の未経験,未教育のため,危惧の念をもつ人も多いようである。
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