私の意見
病院管理の科学化
倉田 正一
1
1慶大病院管理
pp.730-731
発行日 1964年8月10日
Published Date 1964/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200423
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企業に学ぶ管理の科学性
戦後各種企業に経営管理技術のブームが見られ,CCSだ,MTPだ,それORだと騒がれた。その後しだいにおちついて,現在では着実に企業の近代化に役だてられている。さて種々の抵抗を受けながらも新しい管理技術がとりいれられて行つた原因は何であろうか。それはこれら諸技術のもつ合理性,科学性が従来の管理というものに欠けていたからである,といえよう。管理者は個人的な経験,好み,勘などでは意志決定をさばききれないほど専門的な性格を必要としてきている。目的の設定,資源のマネージメント,実行という管理機能を考えた場合,そこに生ずる意志決定―計画―統制―評価の4つの課程で管理者が求めてやまないものは客観的な判断資料,正しい情報であることは疑う余地がない。このことは病院とて例外ではない。
病院内では医療の専門化が進み,これに伴つて診療補助部門も複雑になつてゆく。事実病院が抱えこんでいる専門職種の数は他のサービス産業の比ではなく,将来ますます増加してゆくであろう。医療の分化が進む一方では各部門の中央化が進んでゆく。このなかにあつて管理機能を発揮するためには,客観的なそして正しい多くの情報をうる必要がある。わが国では院長は医師または歯科医師でなければならないと決められている。院長は多くの場合多年の臨床経験と学識をもつた長老者である。したがつて,多くの場合多年の臨床経験と学識と常識をもつて管理を進める。
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