海外だより
アメリカにおける小児科医
豊原 清臣
1
1九大小児科
pp.252-253
発行日 1964年5月10日
Published Date 1964/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200286
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医学をリードする経済力
渡米後当分相手のいうことがよく聞きとれなかったり,こちらのいうことが通じなかったりでめんくらったものだ。日本に帰ってみると今度は会う人ごとにどうだったか,と尋ねられて困ることがある。相手が医者の場合はなんとか返事もできるが,素人(?)相手に簡にして要をえた感想を数分たらずの挨拶の中で述べるのは私の才をもってしてはむずかしい。でも感想を一言でいえといわれるならば,広大な土地とそれを基盤にした経済力を理解することがアメリカを理解することだといえるように思う。そしてこのことは医学の世界でも同じなのである。戦前のドイツ,戦後のアメリカと世界の医学をリードするものは何か?それは経済の力なのである。
1年有半の遊学で,専門の小児血液学の分野を通してではあるが,じかにアメリカの医学,小児科を見聞して得たものはおよそそこに帰一するような気がする。
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