書評
臨床研修の現在―全国25病院医師研修の実際
赤津 晴子
1
1ピッツバーグ大学内科
pp.157
発行日 2005年1月10日
Published Date 2005/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107509
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市村公一先生著「臨床研修の現在─全国25病院医師研修の実際」(医学書院)を拝読させていただいた.紹介されている各病院の研修の様子がまるで手にとるように具体的にわかりやすく紹介されており,それぞれの病院のレジデントに自分がなった思いで,楽しく一気に読ませていただいた.ちょうど映画を観ていて,気がついたら自分も映画の場面に入りこんでしまっていた感覚であった.
本著の大変すばらしい点をいくつか紹介させていただきたい.まず第一に,本著は今年度からはじまったマッチングシステムの実質をサポートするものである.マッチングシステム導入は,医学部卒業生が全国規模で混じり合うことを奨励する.人が混じることは,そのグループに多様性を生み出す.多様性は新鮮な風,新しい光となる.新鮮な風と新しい光は自身を省み,切磋琢磨,自己研鑽を行うエネルギーとなる.しかし,このマッチングシステムを本当に成功させるためには,マッチング参加者がそれぞれの研修病院の研修内容に関する正確な情報をもっていることが重要である.人が混じらない時代には,よその研修内容など知らなくてもかまわなかった.どのみち,自分の今いる世界にそのまま居残ることになるのであるから.しかし,人が混じりはじめた今,本著のような具体的な情報は不可欠である.
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