書評
こどもの検査値ノート 第2版
濱崎 直孝
1
1九州大学臨床検査医学
pp.1580
発行日 2004年9月10日
Published Date 2004/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107500
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「こどもの検査値ノート」が7年ぶりに改訂された.臨床検査の領域で働いていて感じさせられることは,医療のさまざまな領域で新生児,小児に関する部分への配慮が,一般的に足りない点である.例えば,近年,発達著しい臨床検査分析機器についても,小児専用機器の開発は皆無であるといっても過言ではない.また,検査項目についても,現行の医療保険制度のなかで保険適用として収載されている臨床検査項目を概観してみると,新生児の遺伝性疾患に必須な検査項目が収載されていなかったりする.一方で,代表的な生活習慣病である糖尿病などについては,手厚くさまざまな角度から検討できるように検査項目が充実している.さらに,第2版の序文に編集者が書いておられるが,日本人小児の臨床検査に関する専門書がほとんどないのも,新生児,小児医療への関心の薄さを示している1つの反映であるのだろう.そのようななかで小児医療に長年携わってこられた戸谷,宮坂,白幡の諸先生方が編纂されている「こどもの検査値ノート」は非常に貴重なものである.
この本はポケットサイズで小児医療にかかわっている方々の白衣のポケットに収められるもので,常時携帯可能であること,また検査項目が臨床化学,内分泌,免疫,血液,凝固項目などについてはもちろんのこと,尿,髄液についても,さらには生理検査までも含んでいることから,この1冊があれば,日常の新生児,小児の診療には不自由はしないはずである.
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