連載 患者さんは人生の先生・4
"認知症のレッテル"を貼る前に
出雲 博子
1
1聖路加国際病院内分泌代謝科
pp.727
発行日 2014年4月10日
Published Date 2014/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107481
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数年前のある日、神経内科から入院患者さんのことで私にコンサルテーションが来た。
この患者さんは当時65歳くらいで以前は元気な一人暮らしであったとのこと。2カ月前のある夕方、姪がいつものように自宅を訪ねていったところ、玄関先で倒れていたので、近くの病院に搬送した。搬送中は頭痛、悪心嘔吐あり、眼の前が真っ暗だと訴えていたという。外傷はなく、脳卒中の疑いで入院となった。いろいろ検査をしたが、CTや血液検査で特に異常はみつからず、はっきりした病名も告げられないまま「認知症でしょう」と言われて入院が継続された。しかし、2カ月たっても患者の傾眠傾向と不安状態が続いた。入院前日までまったく元気だったのに急に認知症と診断されたことに納得いかず、姪が患者さんの転院を希望し当院神経内科に転院したのだった。
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