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本書は,わが国のリウマチ学の歴史のなかで画期的なもので,夥しいリウマチ性疾患患者に接する医師が,どのように診療を進めればよいかの指針を,率直に,クリアカットに,しかもていねいに,リウマチ病全般にわたって述べている.これまでの長い経験から,これだけは知っておいて診療に生かしてほしいという著者の想いが伝わってくる.どの病気の記述も,患者を目の前にした真剣な目差しが感じられ,なおかつビジュアルで,カラー写真やX線写真,手技の図が豊富である.きわめてわかりやすい,しかしながら経験に裏打ちされた簡単な記載にも深い味わいがあって,さすがと思わせる.従来のリウマチのテキストブックと比べるとその違いは一目瞭然で,診断基準に長々と頁を費やし,多くの先達の過去の意見が述べられても著者自身の顔が見えてこない,といったものではない.そのうえ,たいていのテキストブックは編集本であるから,なおさらこの本との違いが際立っている.
本書は,リウマチ患者を診療するにはこの程度の知識と手技を身につけていなければならない,ということを示そうとしているようにみえる.したがって,目次の配列も,多い症状,多い患者の順から述べられていて,まず関節炎の鑑別の記載から始まり,臨床検査のなかでも,X線写真の読み方,オーダーの仕方,関節液からの疾患の鑑別に多くの頁を費している.これは著者が比重の置き方を心得ているからで,私にとっては心憎い思いである.次いで関節の見方から問診のとり方などとともに,眼や皮膚の症状がカラフルに示されている.さらに筋肉の痛みの診断,関節穿刺の手技について述べ,治療薬剤にどのようなものがあるか,その用い方と副作用が説明してある.
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