書評
神経内科ハンドブック 第3版
廣瀬 源二郎
1
1金沢医科大学神経内科学
pp.1717
発行日 2003年10月10日
Published Date 2003/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107404
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『神経内科ハンドブック』の第3版が,200頁ほど増頁され発刊された.初版から15年,2版から9年を経た出版である.
初版では,米国の神経学卒後教育のいわゆる『レジデントマニュアル』日本版をめざして,日本での卒後教育のスタンダードたるべく編者は意図され,見事に成功を収めた出版であった.米国での神経学卒後教育の経験に,日本でのあるべき卒後臨床研修の標準を見極めて,2版,3版と改訂されてきたわけである.今回の第3版により,本書は間違いなく,臨床神経学診断と治療のバイブルとなったと言えよう.第2版では,神経疾患患者における臨床診断の最重要点である局所診断の項が加えられ,診断のプロセスの重要さが明らかにされたが,第3版ではそれをさらに重要と考え,まず第1章の神経学的診察法において,脳神経症状を十分に理解できるよう,たくさんの脳神経の解剖図譜が2色印刷で加えられた.理論だけでなく,臨床の実際を考え局所診断をするためには,その基礎となる神経解剖の知識が必須であることは言うまでもない.この点の教育がわが国ではないがしろにされており,その充実こそが実践の場における局所診断に必要なことは明白である.この本を読むことによりその知識が加わり,専門医試験の準備をする若手の医師,臨床の場で責任ある仕事をする専門医には,きわめて有用であろう.
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