特集 成人患者における小児期発症慢性疾患
各専門領域における小児期発症慢性疾患の成人移行支援の取り組みの現状
リウマチ・膠原病
坂東 由紀
1
BANDO Yuki
1
1北里大学メディカルセンター小児科
pp.1500-1502
発行日 2022年9月1日
Published Date 2022/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000380
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はじめに―疾患の特徴と移行の現状
小児年齢で発症するリウマチ性疾患は,全身性自己免疫性疾患(膠原病),自己炎症性疾患,血管炎症候群に代表され,そのほとんどが小児慢性特定疾病医療制度(小慢)や指定難病の対象となっている。発症率が低い希少疾患が多く成人期まで治療を要する慢性疾患である。病名が同じでも成人発症例とはとくに発症年齢によって病態が異なり,治療方針を立てるうえでさまざまな問題が付随する。わが国には小児科医のリウマチ専門医が約100人(2022年現在)と少ないため,診療可能な医療施設で長期に経過観察をせざるをえない現状があった。そのため日本小児リウマチ学会(PRAJ)では代表的な疾患である若年性特発性関節炎(JIA),小児期発症全身性エリテマトーデス(SLE),シェーグレン症候群(SS)の治療ガイドラインを作成し,標準化された治療の普及を目指してきた。リウマチ性疾患群は全身臓器や周辺組織に病変がみられるため,小児期を過ぎると膠原病・リウマチ科の設置がない医療施設では特定の成人専門内科への受け入れが困難であることも多い。現在日本リウマチ学会(JCR)は成人移行支援のカウンターパートとして,PRAJへの協力体制を確立し本事業の両輪となっている。
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