書評
リウマチ病診療ビジュアルテキスト―第2版
松村 理司
1
1洛和会音羽病院
pp.804
発行日 2009年5月10日
Published Date 2009/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103921
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今,至福の時を迎えている.週末のほぼ丸2日間を,上野征夫先生の単独著『リウマチ病診療ビジュアルテキスト(第2版)』の味読に割けているからだ.著者御本人から直々にいただいて数カ月にもなるのだが,書評のための通読のまとまった時間を捻出できなかったのには,生来の怠惰以外の理由もある.昨今の病院長にとっての二大課題,勤務医の安定雇用と医療事故対策に評者も思い切りとらわれているからである.言い訳はともかく,好調な売れ行きと聞くのは,誠に慶賀にたえない.
第2版の改正点の第1は,「あれ,結節性多発動脈炎は? 顕微鏡的多発血管炎は?……」といった初版時の問いに対する回答である.つまり,血管炎の章の増設である.そのほかの大幅な追加項目として,血清反応陰性脊椎関節症,感染性関節炎,随伴性のリウマチなどがある.おかげで2倍近い厚さになっている.第2は,日進月歩の医学に見合った増補であり,リウマチ病の生物学的製剤などが挙げられる.第3は小さいことかもしれないが,膠原病という用語が一切除かれたことである.理由は,「強皮症以外,collagen diseaseにコラーゲンの異常は見られない」という米国での30年前の指摘に基づくとの由.なお,文部科学省からの「医学教育モデル・コア・カリキュラム―教育内容ガイドライン」(平成19年度改訂版)の索引には,リウマチ病はなく,膠原病や膠原病類縁疾患はある.第4に,顔写真に目隠しが入ったことである.第5の違いは,出来栄えには関係ないが,手書きではなく,ワープロが使われたことである.
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