書評
脊椎脊髄ハンドブック 第3版
松本 守雄
1
1慶應義塾大学整形外科学教室
pp.228
発行日 2019年2月25日
Published Date 2019/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201296
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日本大学整形外科学分野の德橋泰明教授と脊椎班の先生方による『脊椎脊髄ハンドブック』第3版が刊行された.前回の第2版から8年の歳月を経ての改訂であるが,その間,社会の高齢化による成人脊柱変形や骨粗鬆症などの加齢性疾患の増加,疼痛診療の集学化,画像検査法の進歩,各疾患の診断基準や診療ガイドラインの改訂などにより,脊椎脊髄領域の診療にも大きな変化が生じている.一例を挙げると,成人脊柱変形では,spinopelvic balanceの重要性が最近広く認識されており,新規の分類法やX線学的パラメーターが治療時の指標とされている.今回の改訂版には,このような8年間で加わった新たな情報が豊富に追加記載され,大変充実した内容になっている.一方,脊椎脊髄診断学の根幹をなす局所診察法や神経学的所見の取り方については,その神経解剖学的根拠や読者の理解を助ける大変わかりやすい図とともに詳細に記載されており,初版からの変わらぬコンセプトも貫かれている.本書が初版以来18年間にわたり根強い愛読者を獲得し続けている所以である.
德橋教授をはじめとする日本大学の脊椎班の先生方は,非常に高いアクティビティをもって脊椎脊髄疾患診療に取り組まれている.その広く深い臨床経験から診療上で重要なものが何であるかを洞察され,本書の項目立てをされているので,整形外科医のみならず,あらゆる診療科の医師にとって効率よく脊椎脊髄診断学のエッセンスを学べる書になっている.
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