書評
―木下芳一,高橋信一 編―実地医家ならこれを読め!―PPI(プロトンポンプ阻害薬)治療のコツがわかる本
豊田 英樹
1
1ハッピー胃腸クリニック
pp.2258
発行日 2013年12月10日
Published Date 2013/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107253
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
プロトンポンプ阻害薬(PPI)は胃酸分泌を強力に抑制する薬で,現在では食道・胃・十二指腸疾患の内科治療の柱となる薬であり,内科診療を行うためにはPPIによる治療は避けて通ることはできません.つまり,自信を持ってPPIを適切に使いこなすことができれば,胃酸関連疾患としての食道・胃・十二指腸診療の達人になれるわけです.「実地医家ならこれを読め!」との力強いネーミングからも,日本における胃酸関連疾患診療の実地医家でのレベルアップを切望する編者の情熱が伝わってきます.
一般に広く処方されるようになったPPIですが,適応や投与方法,投与期間に医療保険上の制限があるため,PPIを処方したら査定された経験のある先生もあると思います.そうした過去の苦い経験からPPIは使いづらいと感じておられる先生も少なくないと思います.PPIの酸分泌抑制作用は強力であるので,どのような投与の仕方をしても治療効果は十分であろうと以前は信じられてきました.しかし,現在では常用量のPPIを投与していても効果が不十分な症例が約半数程度も存在することが問題となっており,十分な治療効果を得るためにはPPIの使用方法に工夫が必要であることがわかってきました.
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.