連載 感染症フェローのシンガポール見聞録・2
トラベルクリニックと狂犬病
馳 亮太
1
1亀田総合病院感染症科
pp.189
発行日 2012年2月10日
Published Date 2012/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402105806
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Tan Tock Seng HospitalにはTravellers' Health & Vaccination Clinicという部署があり,シンガポール国内で最も大きなトラベルクリニックとして診療が行われています.Travel Medicineと言われても聞きなじみのない方が多いと思いますが,日本語では旅行医学や渡航医学と訳され,海外旅行に行く前のワクチン接種や薬の処方,旅行中の行動に関するアドバイスや,帰国後のフォローアップを広くカバーする学問です.
このクリニックを統括するDr. Limの外来を1日見学させてもらいました.3時間で10件ほどの外来予約があり,受診理由は海外赴任前のワクチン相談,海外出張前のマラリア予防の相談,国外で動物に噛まれた人の狂犬病予防に関しての相談など,いろいろです.Dr. Limは,CDC(米国疾病予防管理センター)が発行するYellow Book(渡航医学の教科書)の地図や表を見せながらテキパキと診療を進めていきます.受診患者は,ビジネスマンや外務省職員が中心ですが,政府とも提携しているため,海外渡航前の各省の大臣も訪れることがあるそうです.
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