2頁の知識
狂犬病
美甘 義夫
1
1傳染病研究所附屬病院
pp.24-25
発行日 1950年4月15日
Published Date 1950/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906635
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狂犬病はもともと野獸の病氣で,飼犬がこの病氣に罹るようになるまでは人類は安全であつた。18世紀にヨーロッパで飼犬に狂犬病が發生してから人間にも狂犬病が見られる樣になつた。ヨーロッパに續いて南北アメリカにも犬の狂犬病は擴がつた。オーストラリヤだけは海港檢疫を嚴重にして狂犬の輸入を防いだので,今日に至るまで犬にも人にも狂犬病の發生をみないといわれる。
日本で何時頃から犬の狂犬病が發生したか明かでないが,徳川時代の末期頃からは,狐つき犬つきといわれて,人の狂犬病があつたらしい。今次大戰前には日本國内の狂犬發生は,年間10頭以下に減少し,狂犬病患者の發生も極稀になつていた。大戰末期から終戰後には,國内衞生對策の混亂と共に狂犬の發生は莫大な數に上つた。殊に東京中心とした周圍の地方には,相當多數の患者が發生している。
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