今月の主題 “がん診療”を内科医が担う時代
Column
がん患者団体の役割
天野 慎介
1,2
1NPO法人グループ・ネクサス
2厚生労働省がん対策推進協議会
pp.2080
発行日 2011年12月10日
Published Date 2011/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402105703
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国内でのがん患者団体の活動は,すでに40年以上の歴史があるといわれていますが,その活動が特に活発化し,注目されたのは2000年以降です.端緒となったのは,海外で標準的に使用されている抗がん剤が,国内で未承認のために使用できない「未承認薬使用問題」(現在ではドラッグ・ラグといわれます)の解消を求めて,各地でがん患者が声を上げはじめたことです.その活動は「がん医療の均てん化」「がん情報や相談支援体制の充実」など,がん医療全体の向上を求める大きなうねりとなり,2006年のがん対策基本法の成立へと結実することとなりました.
がん患者団体の活動内容には,このように行政や政治に働きかけを行い,がん医療の向上を求めていく「政策提言活動」もありますが,これ以外にも「普及啓発活動」や「相談支援活動」などがあります.「普及啓発活動」の内容としては,医療者を招いた講演会やシンポジウムの開催,会報誌やインターネットを通じた情報提供などがあります.「相談支援活動」の内容としては,患者や家族が参加する交流会や「がん患者サロン」の開催,電話や対面などを通じた相談窓口の開設などがあります.特に,同じ悩みをもつ患者や家族同士で,互いの経験を話し合い,分かち合う「ピア・サポート」については,当事者同士の自助活動の1つとして注目されています.
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