連載 研修おたく海を渡る・71
指導医も変われる! レジデントからの評価
白井 敬祐
pp.2025
発行日 2011年11月10日
Published Date 2011/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402105660
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研修必修化に伴い日本でも研修医をいかに体系的に指導し,その成果を評価するかが議論されるようになりずいぶん経ちます.僕が日本で研修をしていた時は指導医による研修医の評価はあっても,研修医が指導医をオフィシャルに評価することはまだありませんでした.
10年前に渡米した時,評価されるだけでなく,レジデントでありながら自分が指導医を評価することにかなり違和感をもちました.どうせみんな当たり障りのないことを書くだけだろうと思っていましたが,そんなことはありません.レジデント仲間は「指導は細かいのはいいが,マイクロマネジメント(過度な干渉,管理)になる傾向があり,研修医の自主性を認めてくれない」とか,「ひたすら回診は長いのに,ティーチングがない」,「研修医の評価を聞かず,すぐに他科にコンサルトする」などと堂々と書きます.それなりに的を射たコメントですが,僕自身は「俺がそんなこと言われたら,機嫌悪くなって,やる気なくすんちゃうかなぁ?」とか「まぁ自分もできてないから,そんな偉そうなことは言えへんわ」と思いながら,評価にエネルギーを使わずに適当なことを書いていました.ところが,評判が悪かったのに1年もしないうちにまるで別人のように変わった指導医がいたのです.それぞれの患者のプレゼン後に,テンポよくワンポイントレクチャーが入り,しかもおだてるだけでなく,見落としや勘違いはしっかりと指摘していました.「指導医も変われる!」のです.あまりの変わりように,回診後に「何があったんやろう?」,「相当ひどい評価が続いたんちゃうか?」とか「結婚すると人格も変わるんやなぁ」なんてレジデント同士で好き勝手なことを言ったものです.
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