書評
―村川裕二 著―不整脈治療薬ファイル―抗不整脈薬治療のセンスを身につける
熊谷 浩一郎
1,2
1福岡山王病院ハートリズムセンター
2国際医療福祉大大学院
pp.1924
発行日 2010年11月10日
Published Date 2010/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104913
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
本書は2002年に発行された「循環器治療薬ファイル―薬物治療のセンスを身につける」の不整脈治療薬版として執筆された.著者の専門である不整脈について,診療に必要な病態生理・薬理の知識を,実際に臨床で役立てられる範囲の必要最低限に絞って,著者のセンスでわかりやすくユーモアを交えて解説している.
数ある薬の中で,抗不整脈薬は最も使用が難しく恐ろしい薬の一つである.本来は不整脈を抑える薬だが,効きすぎると逆に新たな不整脈を引き起こすという両刃の剣のような作用をもっている.病気を治す薬が,その病気を増悪させるような薬はあまりない.場合によっては,かえって予後を悪化させることもある.ほとんどの抗不整脈薬の副作用の欄には,洞停止,心停止,心室細動,心室頻拍,心不全,房室ブロック,失神,心原性ショック等が記載されてある.要するにこの薬を飲むと死ぬことがあるということである.また,なかには劇薬・毒薬指定もある.こんな恐ろしい薬はなるべくなら出したくないと思うかもしれない.
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.