特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
腫瘍マーカー
消化器系
NCC-ST-439
濱田 晋
1
,
下瀬川 徹
1
1東北大学病院消化器内科
pp.536-537
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104835
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
NCC-ST-439は糖鎖抗原の一種であるシアリルLewis X抗原に属し,乳癌および膵癌,胆管癌,大腸癌などの消化器系癌の腫瘍マーカーとして利用される.正常細胞においては細胞表面の糖鎖は多様な修飾を受けているが,癌細胞においてはその修飾機構が機能不全に至り,発現する糖鎖が単純化する.結果として,癌患者においてはこれらの糖鎖抗原の血中濃度が増加する.したがって,本検査項目は乳癌や各種消化器癌における臨床的意義が高い.
CEA(carcinoembryonic antigen:癌胎児性抗原)やCA(carbohydrate antigen:糖鎖抗原)19-9といった消化器癌において広く用いられている腫瘍マーカーと比較して,感度は劣るものの,特異度において優れていることが報告されている1).臨床的には外科治療後の再発の早期診断や,化学療法の効果判定の指標の1つとして用いられることが多い.
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