特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
腫瘍マーカー
消化器系
NCC-ST-439
澤武 紀雄
1
,
渡辺 弘之
1
,
大坪 公士郎
1
1金沢大学がん研究所腫瘍内科
pp.518-520
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101887
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
異常値の出るメカニズムと臨床的意義
NCC-ST-439は,広橋らが胃癌細胞株ST-4を免疫原として作製した単クローン抗体により検出される糖鎖抗原である.そのエピトープはムチンのコア蛋白にN-acetyl galactosamineを介してLeaの異性体であるⅡ型糖鎖の根幹をなすLeXにシアル酸のついたsialyl LeXが結合した構造,すなわちsialyl LeX-Tnであるといわれている.同じⅡ型糖鎖に属するSLX(sialyl LeX-i)やCSLEX-1(sialyl LeX)とは交互反応性を有さない.
免疫組織学的に本抗原はヒト正常組織にも唾液腺,気管,消化管の上皮細胞の管腔側細胞膜に極性をもって弱く染色される.また,胆管炎や膵炎などの良性疾患でも正常に比して明瞭に染色される場合もあるが,各種Ⅰ型糖鎖抗原ほどに強く染色されない.癌細胞では極性は乱れ,基底膜を含め広範に強く染色されるようになり,しばしば癌細胞周囲の間質にも遊離し,血中にも上昇するようになるので,血清腫瘍マーカーとして利用できる.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.