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検査の概要
C反応性蛋白(C-reactive protein,CRP)は分子量2.1万のサブユニットの五量体であり,この五量体が二つ向かい合って結合した状態で血中に存在する.CRPはカルシウムイオンの存在下,肺炎球菌のC多糖体と沈降することから命名されたが,後に炎症患者の血漿中で濃度の急増する蛋白であることが見いだされ,広く臨床検査に使われるようになった.測定方法は抗体を感作したラテックス粒子が試料中のCRPと反応して凝集する程度をネフェロマトリーまたは比濁法で定量するもので,自動化機種により数分以内に結果が得られる.機種,試薬によって異なるが,現在では0.2mg/dl以上は精度よく測定され,値の標準化も達成されている.なお,0.05mg/dl程度の健常者中央値付近を精度よく測定する試薬は,高感度CRPと別に呼ばれ,虚血性心疾患などのlow grade inflammationを検出する意義が注目されているが,本稿では高値域を示す明らかな炎症について述べる.
CRPは急性期蛋白(acute phase protein,APP)としての性質を示す.すなわち,病原体の侵入や組織壊死により活性化されたマクロファージから産生される腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor,TNF),インターロイキン(interleukin,IL)-1,IL-6などの炎症性サイトカインの作用で主に肝臓で産生される.CRPの産生は生理的状態ではごくわずかで,炎症刺激を受けて急激に産生され(血中濃度の上昇が確認されるのは半日程度),炎症の規模に応じて血中濃度は10~1,000倍にまで達する.同じような動きをするAPPに血清アミロイドA(serum amyloid protein A,SAA)がある.一方,APPには他にα1-アンチトリプシン,ハプトグロビン,フィブリノゲンなどがあるが,これらは生理的状態でもある程度の濃度が産生されており,濃度の上昇程度も数倍にとどまり,上昇時期もCRPに遅れる.また,溶血性疾患でハプトグロビンが低下するなど炎症以外の因子の影響を受ける場合があるが,CRPは炎症によってのみ影響(上昇)される.以上より,炎症を評価する単独マーカーとしてはCRPが最も優れているといえる.
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