特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
外来でできる迅速キット検査
インフルエンザウイルス抗原検査
三田村 敬子
1
,
山崎 雅彦
2
,
市川 正孝
3
1永寿総合病院小児科
2座間小児科診療所
3市川こどもクリニック
pp.42-44
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104686
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
インフルエンザウイルスはA, B, Cの3つの型があり,本邦で冬季に流行するインフルエンザはA型およびB型インフルエンザウイルス感染症である.A型とB型のウイルス粒子表面にはヘマグルチニン(hemagglutinin:HA)とノイラミニダーゼ(neuraminidase:NA)の糖蛋白抗原があるが,人畜共通感染症であるA型には16種のHAと9種のNAがあり,その組み合わせが異なった亜型に分類される.
インフルエンザウイルス遺伝子は毎年小変異(連続変異)を繰り返す一方で,A型インフルエンザウイルスは数十年に一度,トリやブタなど動物のウイルスとの遺伝的再集合(不連続変異)によって誕生した新しいウイルスが新型インフルエンザとして世界的大流行を起こしている.近年は季節性インフルエンザとしてAソ連型(H1N1),A香港型(H3N2),およびB型が流行を繰り返していたが,2003年頃からアジアを中心に高病原性鳥インフルエンザH5N1の拡大とともにヒトへの感染例が続いており,さらに2009年には,ブタ由来の新型インフルエンザ「パンデミックインフルエンザA(H1N1)2009」がメキシコから全世界に広がった.
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