書評
心療内科ケーススタディー―プライマリケアにおける心身医療
青木 誠
1
1国立病院機構東埼玉病院
pp.119
発行日 2010年1月10日
Published Date 2010/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104293
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この度,中野弘一教授執筆の「心療内科ケーススタディー」が上梓された.提示されている25の症例には,臨床に携わる医師ならば誰でも経験するであろう臨床問題がとりあげられている.一般内科の通常外来や救急外来に多い,動悸,胸痛,吐き気,頭痛,めまい感,微熱,眠れない,肩こり,パニック発作などから,診療部門として開かれていれば総合診療科にも依頼されることの多い,他覚的に説明困難な身体症状,うつ病を疑わせる症状など,自分ならどのように診療を進めていくであろうかとケーススタディー形式ならではの引き込まれてしまう展開の中に,著者の豊富な心身医学的ならびに内科学的な知識と長年の治療経験から得られた診察方法や治療方針がQ and A形式で記載されている.愁訴を出発点として器質的ないし機能的疾患はないか,また患者からどのような陽性,陰性情報を収集できれば,その人の置かれている社会や家庭環境の問題,生活習慣の乱れ,心理的ストレスや精神障害の存在に気づくことができるか,身体疾患と心理・精神的問題の両者に目配りしながら診断,治療をすすめる著者の診療を,傍らのベシュライバーの目線で学ぶことができる.
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