特集 CT・MRIアトラス Update―正常解剖と読影のポイント
骨軟部
各論
軟部腫瘍
玉川 光春
1
,
晴山 雅人
1
1札幌医科大学医学部放射線医学講座
pp.420-434
発行日 2009年11月30日
Published Date 2009/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104211
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正常解剖
大腿・下腿の横断像を示す(図1,2).大腿の筋を含む大腿筋膜は,外側で厚く腸脛靱帯を形成する.鼠径部で大腿前面の大腿筋膜の穴が伏在裂孔で,大伏在静脈などが通過する.大腿筋膜の内外後側から大腿骨に向かい,内側筋間中隔と外側筋間中隔,半膜様筋と大内転筋を分ける3枚の中隔が存在する.これにより,筋は前方,後方,内側筋膜区分に分けられる.前方には伸筋群である大腿四頭筋(大腿直筋,内側広筋,外側広筋,中間広筋)と縫工筋,後方には屈筋群(ハムストリング)である大腿二頭筋,半腱様筋,半膜様筋,内側には内転筋群の薄筋,恥骨筋,短内転筋,長内転筋,大内転筋が存在する.大腿動脈は前方筋膜区分内にあり,坐骨神経は後方筋膜区分内にある.
下腿の筋膜は大腿筋膜が膝窩筋膜となり,連続的に下腿筋膜に移行する.下腿筋膜は前後筋間中隔が腓骨に付着し,脛骨と腓骨の間の骨間膜で前方,外側,後方筋膜区分に分かれる.後方筋膜区は深横筋膜で,浅層筋群と深層筋群に分かれる.前方には伸筋群の前脛骨筋,長指伸筋,長母指伸筋があり,前脛骨動静脈,深腓骨神経が含まれ,外側では腓骨筋群の長・短腓骨筋,腓骨動脈からの枝,浅腓骨神経が含まれる.後方筋膜区分は深横筋膜により分けられ,浅層筋群には下腿三頭筋(腓腹筋,ヒラメ筋)と足底筋,深層筋群には膝窩筋,後腓骨筋,長母指屈筋,長指屈筋があり,後脛骨動静脈,腓骨動静脈,脛骨神経が含まれる.
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