特集 CT・MRIアトラス Update―正常解剖と読影のポイント
腹部
各論
卵巣
田村 綾子
1
1お茶の水駿河台クリニック放射線科
pp.347-357
発行日 2009年11月30日
Published Date 2009/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104200
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正常解剖
●解剖
卵巣は子宮の両側に1つずつ認められる.卵巣窩は外腸骨動静脈の腹側,尿管の背側に位置する.卵巣は卵巣固有索,卵巣提索,卵巣間膜により支持されている.子宮広間膜の背側で,子宮角の卵管付着部に卵巣固有索(ovarian ligament)によって付着する.広間膜は外側で卵巣提索(suspensory ligament)となって骨盤壁に達し,卵巣を保持する.卵巣動静脈や神経はここを通る.卵巣間膜(mesovarium)は卵巣腹側を覆う二重の腹膜で,卵巣前縁から広間膜後葉に連続する.卵巣間膜の卵巣への付着部が卵巣門であり,血管と神経,リンパ管が通る.卵巣門以外の卵巣表面は腹腔に露出している.
卵巣は大動脈から直接分枝する卵巣動脈,子宮動脈卵巣枝の2つの動脈血流が流入する.卵巣動脈と子宮動脈は卵巣間膜内で吻合する.卵巣静脈は動脈に伴走する.広間膜内で子宮静脈と吻合し,右卵巣静脈は下大静脈へ,左卵巣静脈は左腎静脈へ流入する.
卵巣は卵胞を含む表層部の皮質と血管の豊富な中心部の髄質からなり,白膜に覆われる.皮質には卵胞のほかに豊富な間質も含む.生殖可能年齢では皮質が大部分を占める.
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