特集 CT・MRIアトラス Update―正常解剖と読影のポイント
胸部
各論
肺のリンパ管・リンパ節
渡辺 尚史
1
,
高橋 康二
1
1旭川医科大学放射線医学講座
pp.189-195
発行日 2009年11月30日
Published Date 2009/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104181
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正常解剖
●肺のリンパ管の解剖
肺のリンパ管は存在部位により,胸膜に分布する表在性リンパ管と内部に存在する深在性リンパ管に大別される.深在性リンパ管はさらに小葉間結合織内のリンパ管,肺静脈・気管支・肺動脈に伴うものに分類される1,2).
胸膜下リンパ毛細血管内のリンパは,主に小葉周辺部のリンパ管を介して一本の集合リンパ管に運ばれ,区域間や肺葉間の肺静脈に伴う集合リンパ管を介して肺門部に注ぐ.ごく一部は,小葉間結合織内の集合リンパ管を経て,肺動脈・気管支に伴うリンパ管に流入してから,肺門部に到達する経路,すなわち表在性から深在性リンパ管に注ぐ経路が存在している(胎児で発達,成人は肺底部にわずかに認められる)(図1).
また,胸膜下リンパ管への色素注入法による解剖学的検討と,肺癌切除例における転移リンパ節分布の検討から,肺から縦隔への直接リンパ経路の存在が考えられている.
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