連載 市中感染症診療の思考プロセス IDATEN感染症セミナーより・11
急性腹症のマネジメント
岩田 健太郎
1
1神戸大学 感染症内科
pp.350-354
発行日 2009年2月10日
Published Date 2009/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103800
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ケース 発熱,腹痛のある80歳女性
現病歴 ADL自立した80歳の女性が,半日持続する発熱,悪寒,戦慄,嘔気,腹痛の訴えで救急外来を受診した.呼吸困難や咳はない.既往として食事療法を行っている糖尿病があり,胆嚢胆石,総胆管結石を指摘されている.
身体所見 体温39.5℃,心拍数120/分,呼吸数24/分,血圧90/60 mmHg.全身状態:きつそうである.頭目耳鼻喉:特になし.心臓:I・II音正常,雑音なし.胸部:右下肺に呼吸音減弱し打診上濁音,ラ音なし.腹部:平坦,腹部板状硬,痛みで触診も十分にしにくいほど.明らかな肝腫大なし.脾腫なし.四肢:皮疹なし,下肢痛なし.リンパ節:触知せず.
検査データ ヘマトクリット36%,白血球14,500/ml(好中球72%,桿状球19%,リンパ球3%,6%単球),血小板7×104/ml,CRP 34 mg/dl,電解質・BUN・クレアチニン正常,赤沈82 mm/hr,ALT 82 IU/l,AST 55 IU/l,ALP 122 IU/l,総ビリルビン1.5 mg/dl.胸部X線:右胸水(+),血液培養:グラム陰性桿菌(+),腹部エコー:胆石あり.総胆管拡張なし.
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