特集 目でみる診療基本手技
基本的な臨床検査
緊急血液検査(トロポニンT/H-FABP/Dダイマー)
丸井 伸行
1
1中部ろうさい病院救急部・一般内科
pp.26-32
発行日 2008年12月20日
Published Date 2008/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103672
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ポイント
●心筋梗塞,肺塞栓は,緊急疾患のなかでも致死率の高い疾患であり,その見逃しは重篤な結末を招く.そのため緊急血液検査を施行するときに,検査の感度,特異度を理解するとともに,検体を採取するタイミングを理解することが重要である.検査が陽性になるタイミングを知らずして,診断を除外することはあってはならない.
●トロポニンT,H-FABPは心筋障害マーカーとして測定され,トロポニンT上昇の確認により心筋梗塞の診断が確定される.H-FABPは急性期に心筋梗塞を,Dダイマーは肺動脈血栓塞栓症や深部静脈血栓症を除外するために有用である.
●精密な定量測定は,各病態の重症度や予後判定に有用であるが,院内検査の場合,中央検査室の器機を稼動させるため,夜間時間外や休日には測定できない病院も多い.さらに外注になると数日を要するため,迅速に対応することは困難である.POCT(point of care testing)として全血検体を用いた迅速キットはそれぞれの測定項目に関して短い時間で判定が可能であり,診察室や救急外来での診断に利用されている.検査を行うときはPOCTをはじめとして,勤務先の測定方法を理解する必要がある.
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