書評
がん患者の感染症診療マニュアル
藤本 卓司
1
1市立堺病院総合内科
pp.2050
発行日 2008年11月10日
Published Date 2008/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103621
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近年,国際基準に見合った癌診療の標準化が強く求められるようになってきた.なかでも癌治療の中心である手術や化学療法などが注目されがちだが,支持療法の一つとしての感染症治療についてはどうであろうか.「背景に癌があるから」,「癌のために免疫が落ちているから」といった漠然とした理由で,論理性に乏しい抗菌薬,抗真菌薬などの選択と使用がなされてきたのではないだろうか.
このマニュアルは,読みやすい簡潔な文体でありながら,強い信念とも言うべき哲学に貫かれている.患者背景,罹患臓器から原因微生物を推定し,それに基づいて抗微生物薬を選択するというきわめて論理的な思考過程が,総論から各論の隅々にまで首尾一貫して展開されている.
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