連載 市中感染症診療の思考プロセス IDATEN感染症セミナーより・3
市中肺炎のマネジメント
岩渕 千太郎
1,2
1旭中央病院 内科
2旭中央病院 感染症科
pp.1136-1144
発行日 2008年6月10日
Published Date 2008/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103409
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ケース 湿性咳嗽と肺野浸潤影を伴う66歳の重喫煙歴がある大酒家
(本稿では,洛和会音羽病院の大野博司先生がIDATEN感染症セミナー用に作成したシナリオを使用した)
現病歴 66歳男性が7日間続く38℃台の発熱,悪寒・戦慄,血痰を伴う湿性咳嗽の訴えで救急外来を受診した.患者は特に既往歴はないと言い張るが,毎日4~5合の焼酎を飲み,2箱/日(40年間)の喫煙もある.職業は自由職という.
身体所見 体温38.6℃,心拍数118,呼吸数30,血圧120/62.全身状態:きつそう.衛生状態は悪そう.頭目耳鼻喉:結膜・咽頭軽度発赤あり,口腔内齲歯多数,心臓:I・II音正常,雑音なし,胸部:右上肺野の呼吸音減弱,打診上濁音,ラ音あり,腹部:平坦・軟,圧痛・腫瘤なし,肝脾腫なし,四肢:浮腫なし,皮疹なし,チアノーゼなし.
検査データ 白血球26,200/μl(65%好中球,8%桿状球,8%リンパ球,1%単球),喀痰グラム染色:多量の多形核白血球,大型のグラム陰性桿菌の貪食像,胸部X線:右上葉に浸潤影.
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