特集 一般医のためのエコー活用法
Ⅲ.心臓
この所見をみたら
左房拡大
山田 晶
1
,
岩瀬 正嗣
2
1藤田保健衛生大学医学部循環器内科
2藤田保健衛生大学短期大学医療情報技術学科
pp.100-103
発行日 2007年11月30日
Published Date 2007/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103052
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拡大した左房とは?
拡大した左房をみた場合に何を考えるかということを述べるには,まず左房サイズの評価方法を知る必要がある.心エコー図検査による左房サイズの一般的な指標として,胸骨左縁左室長軸像での心室収縮末期における左房の前後径が用いられる.この前後径が4.0cm以上,あるいは前後径を体表面積で除して2.4cm/m2以上あるときに,左房は拡大していると判断される1)(表1).しかし,特に左房が拡大した場合,左房の後ろ側にある椎体や胸部下行大動脈などの構造物によって左房前後方向の拡大が制限を受け,長軸方向の拡大が主体となり(図1),前後径を用いるだけでは左房拡大の程度を正確に反映しないことが指摘されている.左房前後径と3Dエコーで求めた左房容積を比較した報告では,同じ左房径であっても,その容積は数倍異なる値をとりうることが認められている2)(図2).そこで,左房サイズのより正確な評価には容積を計測することが推奨され,左房容積を体表面積で除した左房容積係数が指標としてよく用いられている.後述のごとく,左房容積係数が32ml/m2より大きい場合に心イベントが多いとする報告がよくみられる.
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