書評
よくある症状-見逃せない疾患―デキる臨床医はこのように考える
鈴木 富雄
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1名古屋大学医学部附属病院総合診療部
pp.1323
発行日 2007年7月10日
Published Date 2007/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402102863
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『よくある症状-見逃せない疾患』を読んだ.手ごろな重量感,2色使いの読みやすい文章.適切なポイントで区切られた臨場感あふれる症例提示.興味深く,段階を追いながらも一気に読ませるQ & A方式の解説.1章の「Nguyen氏とFennech夫人の胸痛」から始まり,36章の「Brunoさんの急性側腹部痛」にいたるまで,読み進むうちに,積極的でやる気のある研修医を,若手の優れた指導医が指導していく現場に居合わせているような高揚感と,双方に対して「おぬし達,できるな」という,敬意と親しみの混じったような気持ちを強く感じた.
総合内科領域の指導医にとって,ここに書かれている内容は,マスターしておきたいことばかりである.しかしながら,業務に忙殺されるなかであいまいにしてきた部分もあるはずである.総合内科医としての力量を,短期間にバランス良くブラッシュアップさせるのに,これほど良いレベルと分量の書物は他に見ない.優秀な指導医にとっては,記載が物足りなく思える部分もあるかもしれない.だからこそ,短時間に一気に読め,そのなかで,「おやっ」と思う未知なる知識や,臨床的コツに出会うこともあるであろう.いわゆるclinical pearlである.
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