特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
腫瘍マーカー
消化器系
CEA(癌胎児性抗原)
石原 武
1
,
山口 武人
1
,
税所 宏光
1
1千葉大学大学院医学研究院腫瘍内科学
pp.498-499
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101880
- 有料閲覧
- 文献概要
異常値の出るメカニズムと臨床的意義
胎児の消化管粘膜と共通の抗原性を持つ分子量18~20万の糖蛋白である.糖鎖部分の多様性から,単一の分子構造ではなく複数の分子種からなる抗原である.1965年,GoldとFreedmanにより報告1)された当初は大腸癌に特異的とされたが,検出感度を高めることにより,消化管癌をはじめとする多くの腺癌でも高値を示すことが判明した2).現在では種々の癌で増加する腫瘍マーカーとして広く用いられている.
正常組織でもCEA(carcinoembryonic antigen)は上皮細胞(食道,胃,大腸,膵,胆管,胆囊,皮膚,気管支,肺胞,甲状腺,尿管)に存在することが示されており,癌胎児性抗原として命名された当初の意義は大きく後退した.近年,構造の類似した関連抗原とともにCEA familyとして区分され,転移促進に関与する因子としての機能が注目されている3,4).
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.